筆ペン ~届けたいものがあります~
仕事柄、金封や手紙を書く機会が多くあります。
その際に筆ペンを使用するのですが、筆のコシが柔らかすぎたり固すぎたりすると、思い通りの線が出なくて書きづらく感じることもありました。
今回は、私が巡り合った理想の一本をご紹介します。
私が使用している筆ペンは、約380年の伝統を誇る奈良筆の老舗「あかしや」の職人が一本一本手作業で作っている、中川政七商店オリジナルのものです。
一番の特徴は、ペン先にコシがあり、実際の筆と同じような感覚で書けること。力の入れ具合によって太い線も細い線も書くことが可能で、表現の幅が増え、線一本一本に表情が出て気持ちを乗せることができます。
カートリッジ式でインクの交換も簡単です。
デザインもシンプルで、入っている焼印の柄も上品なので飽きずに使用でき、筆立てに立ててもなじみます。また、軸は天然の紋竹を使用しているので一本一本で表情が異なり、自分だけの筆ペンだと思える部分も魅力です。
桐箱に入っているので贈り物にもオススメ。私は、桐箱には鉛筆を入れて筆箱として活用しています。
現代はメールやLINEなどで連絡をとることがほとんどで、PCやスマートフォンの画面上で見る文字は無機質な印象を与えがちです。
その一方で、送る相手への心を込めた手書きの文字には温度があり、書き手の想いが息づいていると感じています。
金封の表書きはお祝いする気持ちやお悔やみの気持ちを込めて、手紙は送る相手へ想いを馳せながら、書いています。そうすることで、より丁寧に書こうという意識も芽生えます。
字が上手ではないからと手書きを敬遠する気持ちもあるかと思いますが、相手のことを想い、伝える言葉を選び、そして自分の手で書く言葉は文字の巧拙に関わりなく気持ちが届くものです。
自分がもらう立場で考えても、自分に対してそれだけの時間と心を使い、届けてくれるその気持ちが嬉しく、差出人の方を身近に感じてあたたかい気持ちになります。
心の機微を手書きの文字に乗せて、心のやりとりをこれからも大事にしたいと、今日も筆を取っています。
中川政七商店 管理課 吉田