冬の麻もの、糸からつくりました

デザイナーの二井谷さんに話を聞いてみると、
「一口に麻と言っても実は20種類以上もあるんです。今回使用したのはリネンなのですが、繊維の中に空気が含まれていて、寒い季節には、天然のサーモスタットの役目を果たすような機能をもっています。」
オールシーズンに適した麻の特性を感じてもらいたい、という想いから、冬の麻ものづくりがスタート。
麻を活かした糸作りをご一緒してもらうなら!と相談に向かった先は・・・
独自の糸作りで世界に知られる佐藤繊維さんと開発

天然繊維それぞれの機能を組み合わせて、これまでにない新しい糸作りをされています。
安い海外製品に押され軒並み廃業になってゆく国内企業の中で、こだわりの独自の糸作りで唯一無二の立ち位置を確立し、世界中の名だたるブランドが佐藤繊維さんの糸に惚れ込んでいます。

触ってみると、麻特有のシャリシャリとした涼しげな手触りではなく、冬のニットらしく温かみのある手触りです。

強度を出す為につよく撚った糸の状態で織ったり編んだりすると、どうしても清涼感のある手触りが前面に出てしまう麻。特殊な糸作りの技術で、麻に撚りをかけずにわたの状態で糸にすることで、やわらかく温かみのあるニットが完成しました。

古いとはいえ、世の中に流通している機械ですが、麻をわたの状態でまぜた糸作りは効率が悪く大量生産に適していない為、佐藤繊維さん独自の技術になっているのだそうです。この温かみのある糸は、効率第一ではなく、素材を活かすために試行錯誤を重ねた作りたいものをなんとしても作るための“物づくりの現場”から生み出されたからこその風合いです。
見た目も機能も手触りも、冬にふさわしい麻のもの

「ニットの風合いが面白いものにできたので、それを活かしたくて、形はあえてシンプルで定番なものにしました。」
という言葉のとおり、どんな服にもあわせやすいベーシックな形に仕上がりました。

佐藤繊維さんがアレンジした古い機械でつくられたからこそ、画一化された工業的なものではなく、1つ1つ風合いが違う温かみのあるニットに仕上がりました。
※縮絨加工:毛織物の仕上げ工程の一つ。ニットの風合いを決める重要な仕上げ法。適度な縮みが入り、ふっくらと仕上がる為、セーター・カーディガンなど定番のニットに最適な風合いになります。

素材によって糸の染まり具合が違って立体的、という声も。麻の特性を活かすために、ウールなど複数の素材を撚り合わせてつくった糸ならではの表情です。
今年はニットベストが新登場


季節の変わり目に、重ね着の主役として活躍します。シンプルながら素材感が印象的な大人の着こなしをお楽しみください。