日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。
2020-11-09
自宅のすきま時間に、ものづくりの楽しさを味わっています。「大槌刺し子 みやびふきんキット」
ブランド:大槌刺し子
東日本大震災により、町や大切な人、家、仕事を奪われ綻んでしまった大槌という町を「刺し子」を通してもう一度、繕い、補強し、みんなが誇れる美しく、たくましい町にしていきたい。2011年6月、大槌町発、一歩を踏み出した女性たちによるプロジェクト。昔から洋裁や刺繍が好きなのですが、しばらく間が空いていました。今年、家にいる時間が増えて、久々に手に取ったのが「大槌刺し子 みやびふきん」のキットです。
かつて貴重だった布地を繰り返し補修し、長く大切に使うために生み出された「刺し子」。娘がお嫁に行く時に、お母さんがひと針、ひと針、刺し子をしたふきんを花嫁道具として持たせる風習が、東北を中心に各地にあったそうです。
この大槌刺し子のキットは、きれいに草木染めされた刺し子糸と生地がセットになって、誰でも気軽に刺し子のふきんをつくることができます。
生地には図案が薄くプリントされてあるので、刺し間違えることもありません。普段裁縫や刺繍をしない人でも取り掛かりやすいと思います。
やるのは仕事から帰ってきた夜の時間や休日です。刺している間は何も考えず、ただ静かに手を動かすだけ。この無心になれる瞬間が心地よく、時間を忘れて夢中になります。
ふと手を止めると、きれいな色合いの模様が浮かび上がっているのが嬉しく、また針を進める、という感じです。ひと針ひと針縫いあげて完成に向かう喜びは癒しにもなりました。久々にものをつくる楽しさを味わったように思います。
出来上がったら自分の作品のような気持ちです。道具としても、もちろん丈夫なのですが、すぐに食器拭きなどに使うのはもったいない気がして、飾ったり、器やフルーツの上に伏せてかけたりして、模様を楽しむのも良いかなと思っています。
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