足裏の気持ちよさが気づかせてくれたもの。COURTのウールラグ

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

語り手:高倉 泰

中川政七商店主催の展示会「大日本市」のディレクター。 日本各地の作り手と一緒に展示会やイベントを作りあげる。 古いものを生かした生活が好きで、奈良で築150年の古民家を改築し、 妻と2人の子どもと暮らしています。山形県出身。風呂好き。日本酒ナビゲーター認定者。

ブランド:COURT  
推しの逸品:FISHERMAN’S ウールラグ

スタンダードで普遍的なものづくり。仕立てられたジャケットのように空間に馴染み、時代や世代を超えて、いつまでも愛され続けるものを作りたい。「TAILOR-MADE CARPET」をコンセプトに生まれたラグブランド「COURT」。

かっこよさだけでなく気持ちよさ。機能以上に、情緒的な豊かさのあるもの。ちょっと抽象的ですが、暮らしの道具のそんな可能性に気づかせてくれたアイテムがあります。

我が家の玄関の床はモルタルで、硬質でシンプルなのがいいと思っていました。でも冬にどうしても冷たい印象があると妻に乞われて、ラグを導入。この時に選んだのがCOURT (コート) のウールラグです。


ウールは原料の羊毛に調湿機能があるので、夏は涼しく、冬はあたたかく過ごせるのだと教えてくれたのは、作り手である堀田カーペットの堀田さんでした。
 

作り手、堀田さんのカーペット愛

私は以前、お店のデザインに関わっていたので、ある程度カーペットの知識はありましたが、堀田さんのカーペットは別物でした。まさに「工芸」と言えるものづくりです。そしてご本人のカーペット愛がとても深い。

ご自宅をお風呂とトイレ以外すべてカーペット敷きにして、ウールカーペットが一年中快適な床材であることを身をもって発信し、見学も受け入れています。



キッチン床もカーペット

2年ほど前に展示会を一緒にやっているメンバーと、大阪の工場とご自宅を訪ねていたので、その手間のかかる工法や、足裏の心地よさをよく覚えていました。



足の裏ってこんなに感覚があったんだ

いざ、敷いてみると玄関の印象が一変。フィッシャーマンズセーターのような織り模様が空間にアクセントを与えてくれます。



素足で歩くと、ふかふかしてハリ感があり、踏み心地がよく、足を押し上げてくれる感じです。足の裏ってこんなに感覚があったんだ、と驚きました。冷え性の妻も喜んでいました。

夏もサッパリ。お手入れも簡単


夏は外そうかなと思っていたのですが、全然暑苦しいことはなく、サッパリしています。子どもたちが汚れた足で上がっても目立って汚れることもなく、水に濡らして拭けばいつでもきれい。

羊毛は水分をはじき、汚れがつきにくいので、普段の拭き掃除や掃除機かけでお手入れは十分と、これも堀田さんが教えてくれました。


 

COURTを使って感じたこと


もうすぐ玄関に置くようになって1年。すっかり家族のような存在です。家を出るときにはいってらっしゃい、帰るときにはおかえりなさいと迎え入れてくれるような、安心感、あたたかさを感じます。



別記事で紹介した、紀州新家さんのおろし金もそうですが、体や肌で感じるような「使っている時に心地いいもの」は、これからもっと重要性が増していくだろうと思います。私たちが扱う「工芸」はそうした、人の本質の部分に届く可能性をたくさん秘めているのだと、COURTを使っていて感じました。

今、庭にある蔵を改築して、子ども部屋と寝室を作っているんですが、床はカーペットにするつもりです。子どもが騒いでも響かないし、寝る前に素足でふかふかのカーペットを歩くのは気持ちよさそうです。


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