誰かに贈りたくなる、大人のうつわです。Paulownia furniture AZUMAの桐のグラス

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

語り手:岡本 恭法

中川政七商店主催の展示会「大日本市」の実行委員。 主に営業を担当をしており、各地の小売店様に日本の工芸を取り扱っていただけるよう提案しています。 メディアへの発信もしており、noteやTwitterを担当。編集をしながらみなさまに日本の工芸の楽しさをお伝えしていきたいです!

ブランド:Paulownia furniture AZUMA  
推しの逸品:桐のグラス

明治24年創業。桐の材木屋から始まり、和歌山の伝統的工芸品でもある紀州箪笥を作る中で、もっと「桐」という素材を身近に知って、使っていただきたいという思いからロックグラスや、トレイなど生活雑貨を中心に商品展開をしています。

はじめて見たときに、カウンターバーで出されるうつわみたいだなと思いました。例えば誰かの家に行って、これでドリンクを出されたらかっこいい。大人になったらこういうものを持ってみたい、と思わせる佇まいです。

手に持ってみるとその軽さに驚きました。これなら大きい氷を入れても重くならないので、ウィスキーのロックが合いそう。お酒が好きで家でもよく飲むので、酒器として使うイメージがいろいろとわきました。
 

桐の特性を生かしたうつわ

酒器はガラスや陶器のものをいくつか持っていますが、木製ははじめてです。テーブルに置くとパッとその場がやわらかい雰囲気になるのが、木ならではだなと思います。


いろいろと注いでみて気付いたのは、軽くて薄いのに、中の飲み物の冷たさ、熱さが手に伝わりにくいこと。

素材に使われているのは桐の木です。ほかの木材に比べて軽く、熱を通しにくい、水が浸透しにくい、伸縮が少ないといった特徴がうつわに活かされています。

作り手は和歌山の桐箪笥職人、「家具のあづま」の東福太郎さん。家業の箪笥づくりを継ぐ傍ら、桐の特性と加工技術を生かした桐のプロダクトブランド「Paulownia furniture AZUMA」を立ち上げました。


「富士」と並んで人気の「桐のビア杯 鳳凰」。その厚みはわずか1mmほどで、こちらも軽い持ち心地
 

飲むことのまわりの楽しみがあります


硬質な桐の木をたくみに加工して現した富士山の曲線は手にフィットして、持ち心地を楽しみながらゆっくりと飲む時間を楽しめます。

30代に入って、お酒もガンガン量を飲むよりは、時間をかけて味わうように飲み方が変わってきました。手触りやテーブルに置いたときの雰囲気など、飲むことのまわりの楽しみがあるこの桐のグラスは、ゆっくり一杯を味わうのにちょうど良さそうです。
 

贈りものにしたい理由

はじめは自分用にと手に取りましたが、使ううちに親への贈りものにも良いなと思えてきました。



桐箪笥がずっと嫁入り道具だったように、桐は昔から縁起の良い木です。丈夫で長持ちするので、「これからも元気で」との気持ちも込めて、親への贈りものに良いなと感じました。ちょうどこの間、母親に自宅で炭酸を作れるマシンを贈ったところなので、セットでちょうどいいかもしれません (笑) 。もし表面が凹んでしまったようなときにも、東さんが修理を受け付けているので安心です。

贈ったグラスにお酒を注いで、これからの季節はみんなで鍋を囲んだり、家族の縁も繋いでくれそう。そうした縁起まるごと、楽しみたいうつわです。




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