日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。
2020-11-20
日常使いできる青磁のうつわに出会いました。鍋島 虎仙窯の「青磁煎茶碗」
ブランド:鍋島虎仙窯
美術品と量産品の間に位置する「美術的商工藝」をと定義した日用品を創り出すブランドです。少し前から、家でお茶を飲むときにはこの「煎茶碗」を使っています。
青緑色の釉薬が美しい青磁。大日本市の展示会場でこの煎茶碗を見かけた時は、上品な印象で扱いに注意がいるかなと思っていましたが、「青磁は丈夫で、かけたりもしにくいんですよ」と、作り手である鍋島 虎仙窯の川副さんが教えてくれました。
虎仙窯のある伊万里市大川内山は青磁原石の国内唯一の産地。中でも虎仙窯さんは300年以上青磁を手掛け、その定評のある美しさで知られています。
よく使うのは晩ご飯のときです。仕事から帰ってくると、ご飯を支度する間にお湯を沸かしてお茶の用意をします。コップに水一杯、で済ます日もありますが、こうしてお茶を淹れる間に心にゆとりができるようで、いい時間です。
高台がきゅっと絞られたフォルムは品があって、食卓に出すとその場が凛とした空気になります。手に持つとツルリとした質感で、口当たりもいいです。
しまうときにはスタッキングできるので、自分用、お客さん用と二つあっても場所をとりません。一人暮らしで食器を置くスペースも限られているので、重ねて置けるのはありがたいです。
釉薬のたまりを生かして、スタッキングできるようになっている
もうひとつ気に入っているのが、繰り返し使ってもお茶のシミがつきにくいこと。青磁はガラス質の釉薬なので、汚れや匂いがつきにくいのだそうです。うっかり流しに置きっぱなしにしてしまったときにも、内側に輪じみがつくこともなく、サッと洗えました。
青磁というと高級品で繊細な印象がありましたが、お茶を淹れるごとに使い心地の良さに気づいて、今ではすっかり「日常使いできるうつわ」になっています。
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