日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。
2020-09-18
魚料理用、子どもの通園用。箸さばきのよさに家族で愛用中です。ヤマチクの竹箸
ブランド:okaeri
箸という漢字の部首は竹かんむり。日本のお箸の起源は竹でした。しかし今では、日本の竹のお箸は食卓から姿を消しつつあります。「ただいま」「おかえり」「いただきます」なにげない日常の食卓に、いつもあるお箸でありたい。それがわたしたちの思いです。子どもがヤマチクの箸しか使わない理由
子どもが最近、ヤマチク以外の箸を使ってくれなくなりました。竹は軽くてしなるので、子どもの手でも、ものが掴みやすいんです。
幼稚園に持って行くのもヤマチク。周りの子どもたちはみんなキャラクターもののキラキラしたお箸なのに、うちの子だけ大人っぽい竹箸です (笑)。
今、この通園用の箸も合わせて、大人用の細め・太め、子ども用を2膳と、家族の箸はみんなヤマチクの「okaeri」というシリーズです。竹だから軽くて使いやすい、だけでない、愛用の理由があります。
魚料理にはヤマチクがいい
よく使うひとつは大人用・23cmの細身タイプ。僕は魚料理を食べる時専用にしています。
釣りが好きでよく渓流釣りに行くのですが、食べるのはあまり上手くなくて (笑)、細かい身をきれいに掴めるヤマチクの箸が欠かせません。
持ち手はしっかりしていて持ちやすく、細身の箸先はとにかく箸さばきがいい。魚料理にはヤマチクがいい、とおすすめしたいです。
先端を細くしても丈夫なのは竹ならではで、例えば両端が細いタイプの菜箸は、木では割れやすく、作るのが難しいのだそうです。今ではすっかり仲良くなったヤマチクの山崎さんが教えてくれました。もちろん我が家の菜箸もヤマチクです。
竹だから、ではなく、ヤマチクさんが作るから
実は、竹はもともと個体ごとに材質にムラが出やすいので加工が難しく、いま日本で売られている竹のお箸のほとんどは、加工済の輸入材を使ったものです。
そんな中ヤマチクさんは、地元・熊本や福岡の山の竹材を仕入れて、一本一本自分たちで状態を見極めて加工するやり方を、1963年の創業以来ずっと続けています。
竹の伐採はかなりの重労働。担い手も減ってきている
「もう一度、竹のお箸を定番にしたい」という思いでデビューさせた自社ブランド「okaeri(おかえり)」
展示会場では、来た人に豆など小さなものを自社の竹箸でつまんでもらうのがヤマチクさんの定番パフォーマンスです。あれは、自分たちが作っているお箸への、山崎さんの愛情と自信の現れだと感じます。
最後に、山崎さんの竹箸愛がわかるエピソードをもうひとつ。大日本市の期間中、出展メンバーで食事に行った時の話です。
山﨑さんはマイ竹箸を持ってきていました。しかも全員の分です。巻物のような手作りの箸入れを広げて、「今日はどれがいいですか?」って選ばせてくれるんです。それも毎回、違う種類を持って来てくれます。
僕はその時からすっかりヤマチクさんのファンです。次はパスタ箸を狙っています。
「バイヤーに聞いた、推しの逸品」トップに戻る
その他の記事
-
2020-12-23
お芋料理を心おきなく楽しめる、頼もしい味方を手に入れました。
-
2020-12-22
絶大なインパクトの奥に、港町の手仕事が詰まっています。加賀谷旗店の国際信号旗フラットバッグ
-
2020-12-22
佇まいも使い勝手もよし。リビングや水回りにも置きやすいSEKISAKAのSTORE
-
2020-12-21
筆屋さんならではの使いやすさに驚きました。あかしやの化粧筆
-
2020-12-20
考え事をしている時は、これで気持ちが整います。白木屋傳兵衛の「はりみ用小箒」
-
2020-12-18
見た目で選んでも、フードロスの軽減につながる。野菜と果物からできたノート「foodpaper」