日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。
2020-11-05
こんな道具が残る世界が、幸せでないはずはない。工房ストローの「蛍かご」
ブランド:山から福がおりてくる
山があるから川が生まれ、川から水が流れ、その水が田畑を潤す。山からの恵みで生きてきた歴史がある。手仕事の全てが山と結びつき、そこにたどり着く。こんな道具が残る世界が幸せでないはずはない。
「蛍かご」と名のついたアイテムの存在を知ったのは、2年ほど前のことです。たまたま帰省で立ち寄った山形のマルシェで出会いました。
それぞれの土地で作られた手仕事が好きで、自宅にはアジアやアフリカを中心にいろいろな国のかごがありますが、この蛍かごほど神話的な用途のかごに出会ったことはありません。それが私の生まれ故郷の隣町で編まれていることを知って感激しました。
昔はその名の通り、実際に蛍を入れて愛でたり、鈴虫やコオロギなどの鳴く虫を入れて室内で虫の音を楽しむために使ったものだそうですが、今はインテリアや簡易照明としてもその風情を楽しめるよう、ハンギングタイプが作られています。
中にLEDライトなどを入れて、簡易照明にすることも
私はシンプルに飾りとしてキッチンにぶら下げてみましたが、ただそこにあるだけで、心にゆとりを与えてくれるように思います。
中に明かりを入れて、今度は寝室の照明に使ってもいいかな、花を挿して飾ってもいいかもしれない。友人が集まる機会に、行灯として使ったらどうだろう、といろいろな使い道が浮かんできます。
子どもに「何を入れると思う?」とクイズを出してみました。元々の使い道を教えると、母親に「蛍を入れると明かりになるんだよ」嬉しそうに教えていました。
不要不急と言われますが、この蛍かごが不要不急と片付けられずに残り続けて、ずっと身近にあって欲しいなと思います。
「バイヤーに聞いた、推しの逸品」トップに戻る
その他の記事
-
2020-12-23
お芋料理を心おきなく楽しめる、頼もしい味方を手に入れました。
-
2020-12-22
絶大なインパクトの奥に、港町の手仕事が詰まっています。加賀谷旗店の国際信号旗フラットバッグ
-
2020-12-22
佇まいも使い勝手もよし。リビングや水回りにも置きやすいSEKISAKAのSTORE
-
2020-12-21
筆屋さんならではの使いやすさに驚きました。あかしやの化粧筆
-
2020-12-20
考え事をしている時は、これで気持ちが整います。白木屋傳兵衛の「はりみ用小箒」
-
2020-12-18
見た目で選んでも、フードロスの軽減につながる。野菜と果物からできたノート「foodpaper」