ストールは難しくない。いつも白Tシャツの僕が出会った播州織の「orit.」

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

語り手:岡本 恭法

中川政七商店主催の展示会「大日本市」の実行委員。 主に営業を担当をしており、各地の小売店様に日本の工芸を取り扱っていただけるよう提案しています。 メディアへの発信もしており、noteやTwitterを担当。編集をしながらみなさまに日本の工芸の楽しさをお伝えしていきたいです!

ブランド:orit.  
推しの逸品:cen.

"orit."はオリットと読み、漢字で書くと「織人」。すなわち日本の織職人たちのことを指しています。 orit.は織人と共に考え、産み出す播州織のブランドです。 みなさまのクローゼットの中身を活かせる商品づくりを目指します。
人生で初めてストールを巻いてみました。

30代に入った頃から、家でも仕事でもほとんど白Tシャツ。ロゴTシャツすら着なくなってきて、あまり面白くないなと感じていました。

かといって、首に何かを巻いてアクセントにすることは、今まで全くしてきませんでした。暑がりで、真冬でもフルジップのダウンで済ませてマフラーも巻かないくらい。ストール自体、巻き方や合わせる服にも気を使いそうで、漠然とハードルの高さを感じていました。

僕が人生で初めて巻いたのは「orit. (オリット)」のストール。兵庫県の播州地域で作られる播州織 (ばんしゅうおり) のブランドで、中でも「cen (セン) 」というシリーズを選びました。



ボリューム感と使いやすさで選びました
手にとってみると結構ボリュームがあります。実はこれが、僕がストールを選ぶ時には重要だなと感じたところで、肩幅がある分、巻物がある程度たっぷりしていた方が、服や体型とのバランスが取りやすいように思います。


これは大判の生地が輪っか状に仕立ててあるので、上から被ったり、肩にかけたり、これならあまり巻き方を気にしなくても使いやすそうだな、と手にとってみました。

実際につけてみると、普段の白Tシャツが劇的に変身。


何色もの糸を交えて生地が織られているので、巻き方を少し変えれば違う色が表に出て、1枚でいろいろな服に合わせられるのもすごくいいなと思いました。仕事に行く時、帰る時で見える色を変えたら、オンオフの切り替えにもなる気がします。

暑がりでもずっと巻いていられそうな、気持ちいい生地
この多色の複雑な織りは「播州織」ならではで、先に染めておいた糸同士の配置を綿密に計算することで、様々な模様を織りで表現できるのが特長です。


中でも「orit.」の作り手である阿江ハンカチーフさんは、高級な細番手の糸を使った軽くて繊細なハンカチづくりの老舗。その技術を生かして作られるストールは、首に巻いみるとふわっと軽くて肌あたりがやわらかく、暑がりの僕でもずっと巻いていられそうです。


色は散々迷って青か黒系統かなと思っていましたが、予想外に薄いピンク色が僕には合いそう、と妻から言われました。


ピンクベージュ色。グレーとの色合わせで男女問わず使いやすい

仕事に、プレゼントに、子どもの行事に
仕事ではいつも白Tシャツにジャケットの組合せですが、このストールならジャケットの内側に巻いて、チラッと見えるのもいいなと思います。冬場でも意外と汗をかくので、巻いておけばジャケットの襟元が汚れないのもいいですね。

それと使っているうちに、母が仕事で外出の機会が多く、ストールをよくしているのを思い出しました。これなら着る服によって表に出す色を変えられるので、いろいろな使い方をしてもらえそうです。プレゼントにいいなと思っています。

僕自身は今度、子どもの幼稚園の行事につけていくつもりです。そろそろ白Tシャツだけだと物足りないな、でも巻物は難しいかな、という人に、1枚持つならこれ、とおすすめしたいです。



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