小さなスペースで花とうつわを楽しめます。辻与製陶所の「涙壺」

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

語り手:寺﨑 美緒

バイヤー、主に企画展の企画や商品の仕入れを担当しています。『衣・食・住』に関する道具やモノの背景を知って、モノを使うことを大切にしています。旅行好き。観光情報を元にするだけでなく、その土地の人々の暮らしや雰囲気を感じられる様な場所やお店を発見するのが旅の醍醐味だと感じています。

ブランド:与山窯  
推しの逸品:辻与製陶所 涙壺

"創業は安政年間にまで遡ります。
磁器から焼締まで製品の幅は広く、柔軟な発想でいろいろなジャンルに挑戦し、もの造りを繰り返す。
これが弊社の開発スタイルとなっています。
10年程前からテーマを決めて新しい作品を制作しており、長い伝統に新しい感覚を調和させた、画趣の深さと画題の豊かさが特徴です。"

自粛期間をきっかけに花をよく飾るようになりました。

花器も色々と欲しくなるのですが、ひとり暮らしの部屋なのであまり大きなものは置けません。しまう場所や自分の部屋の感じに合うかなども考えると、新しく購入するのをためらうことも多いです。

手のひらサイズの有田焼

辻与製陶所の「涙壺 (なみだつぼ) 」は手のひらに収まるくらいの大きさで、小さくても本物の有田焼。


もともと、古代ローマの女性たちが戦場へと赴く夫を思って流した涙を入れるために使ったたという小瓶が名前の由来だそうです


細やかな絵付けは派手になりすぎず、部屋にすっと馴染みました。一輪挿しとして野花を飾ったり、大きな花器で飾っていたお花を剪定して最後まで楽しむのにも重宝します。

有田焼の絵付けは前からキレイだなと思っていたものの大物は手を出しづらかったので、こんな風に身近に置けて嬉しく思いました。



小さいサイズの中に有田焼の魅力が詰まっていて、花がない時にも飾っています。私の場合は、部屋に旅先で買ってきた郷土玩具を並べるコーナーがあるのですが、そこに一緒に飾ったらすごく納まりがよく、眺める時間も楽しいです。

お花好きやうつわ好きの人にも

私が手にとった絵付けのあるタイプは色かたちが全部で6種類。どれも伝統的な有田焼の壺の型がモチーフになっています。

有田焼の成形方法の中でも最も手がかかるといわれている「排泥鋳込み(はいでいいこみ)」で作られています

どれにしようかと選ぶ楽しさがあり、「涙壺」という名前も素敵なので、プレゼントにもいいですね。お花好きな人だけでなく、うつわ好きの人も喜んでくれそうです。



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