お家の中だけの赤い靴、なかなか楽しいです。阿部産業の帆布バブーシュ

日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。

語り手:松山 千恵

中川政七商店主催の展示会「大日本市」の実行委員。 8年間の直営店長を経て、全国の観光地で提携する土産店「仲間見世」 のアドバイザーを務める。 たくさんのモノに触れ合うなかで、それぞれの良さを発見し、自分らしい物と量を整えていく暮らしが好きです。

ブランド:阿部産業  
推しの逸品:バブーシュ

スリッパ生産量日本一の町山形県河北町で、100年続く室内履きメーカー 阿部産業。 ABE HOME SHOESは、「家に帰ったら、ゆったりとした時間を過ごして欲しい」との想 いを込めて作ったオリジナルブランドです。

「自分のお気に入りを持てたらいいな」と思いつつも、どこかで妥協してしまうスリッパ選び。つい消耗品と思って靴選びほど慎重にならず、見た目と履き心地、どちらかがある程度の基準をクリアしていれば良しとしがちでした。

阿部産業の赤いバブーシュを手に取ったのは、私にとってちょっとしたチャレンジです。洋服や持ち物は落ち着いた色を好んでいるので、従来のスリッパ選びもその好みに順じていました。でもこの発色の良いバブーシュを見ると、つい足を入れたくなって、履いてみると新しい洋服や靴に出会った時のような高揚感があります。



外では真っ赤な靴はなかなか履けないけれど、お家の中だけの赤い靴、なかなか楽しいです。赤以外も明るいカラー展開なので、いつも自分が選ばない色を取り入れてみるのも面白いかもしれません。



見た目だけではなく履き心地も抜群。帆布でしっかりした作りですがほどよく薄手で軽く、やわらか。中にウレタンが入っているのでクッション性もあります。これからの季節は厚手のルームソックスが活躍しますが、厚い靴下で履いても窮屈さを感じません。甲を包み込むような形状でスリッパがかかとにしっかりついてくる感じが気持ちよく、ヒールで疲れた足にもやさしいです。


洗濯機で丸洗いできて、長く使えるのも嬉しいところ

仕事から帰って、玄関先で赤い靴に履き替えるのが、すっかり楽しいオフスイッチに。妥協でなく、気に入って選んだものが玄関で迎えてくれるのは、やっぱり嬉しいなと思います。

 

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