日本各地から五十を越える作り手たちが集う中川政七商店主催の合同展示会「大日本市」。 その運営を担うメンバーは、日々、全国の作り手と交流し、年間何百という品物に出会う、いわば「いいもの」の目利き集団。 この連載では、そんな彼らが「これは」と惚れ込んだ逸品をご紹介。実際に使ってみての偏愛を語ります。
2020-11-25
大中小と揃えたくなるシルエットと使い心地です。薗部産業の「めいぼく椀」
ブランド:薗部産業
流行ではない「普遍的と多面的なデザイン」 それが、わたしたちの目指すところ。 伝統に守られるのではなく、伝統を応用し、 その時代その時代に、 ”絶対”のない木のうつわと道具たちは、 美味しいゴハンをもっと美味しく、 愉しい生活をもっと愉しく。まず心奪われたのが手触りの良さでした。ツルンツルンの表面と、ほっぺのようにふっくらしたフォルム。両手で持つと自然と手に沿うようなフィット感があります。
木地は、下に行くほどしっかりと厚みがあり、本体から高台に向かうラインも、高台の内側も、全部なめらかな曲線でできています。指をかけた時に当たりがやさしく、安定感のある持ち心地です。
実際に汁椀として使ってみると、フチがきゅっと内側にすぼまっていて、口当たりがとてもやわらかです。熱々を入れても外に熱が伝わりにくく、安心して手に持てます。
もうひとつ気に入っているのがスタッキングした時の美しさ。大中小とサイズがあり、大きさでいうと、小さいお子さん、お母さん、お父さんのサイズ感です。3つを重ねた時のシルエットがとても美しく、これは揃えて置きたいな、と思いました。
1人暮らしで3つもお椀は必要ないか…と諦めかけましたが、そんなことはありません。中は一般的な汁椀として。小はサラダやヨーグルト、小鉢にも。大はシチューやお鍋のとんすいに使えます。
食事の後に洗って伏せておく時に、ひとつお楽しみがあります。それが高台に刻印された「サクラ」の文字。お椀の素材が桜であることを示しています。最初は子どもが持ち物に名前を書いているようで不思議な気持ちだったのですが、目に留まるたびになんだか愛着が湧いて、一層大切に思う気持ちに変化してきました。
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