
知識や経験がなくても大丈夫。「やってみようかな…」から始めませんか?
「茶道って難しそう」「お点前ってどうやるの?」「最初からお稽古に行くのはちょっとハードルが高い」……茶道に興味があるけれど、なかなか一歩が踏み出せない、そんな人におすすめなのが、奈良にあるお茶処「茶論」の茶道体験です。茶道体験なんていうと緊張する人がいるかもしれませんが、ご安心を。
「茶道の経験や知識はなくても、興味をお持ちであれば大丈夫です。ぜひ、奈良観光のついでに気軽にいらしてください」と店長の西優太廊さん。さて、茶論で楽しめる茶道体験とはどんなものでしょう。

千利休にゆかりのある茶道具屋の喫茶店
茶論は「以茶論美(茶を以て美を論ず)」をコンセプトとした、中川政七商店の茶道ブランド。1716年より手紡ぎ手織りの麻織物を扱ってきた同社の奈良晒を、茶巾(茶碗を拭く麻布。茶道の必需品)として千利休が愛用したことから、茶道文化との関わりがはじまりました。
今では茶道具全般を扱うなど茶道との深いつながりをもっています。そのなかで「もっと多くの人に茶道文化に気軽に触れてほしい」と同店をオープン。茶道具を扱うショップ(見世)として、また厳選されたお茶や季節のお菓子が楽しめる喫茶店としても親しまれています。

テーブルスタイルで濃密な茶席を楽しむ
そんな茶論で体験できるのは、正座をして行う正式な茶席ではなく、テーブルスタイルで行われるカジュアルな茶道です。
もちろんカジュアル、と言っても中身は充実。おもてなしの心を込めた濃密な内容になっています。たとえば最初に提供されるのは〝香煎(こうせん)〟。白湯に焼き塩や香りづけの紫蘇などを加えた飲み物で、「お茶を召し上がる前に飲んでいただきます。ここまでご足労いただいた疲れを癒し、さらに口の中をすっきりさせておくつろぎください、という意味合いもあります」と西さん。

きめ細やかな心遣いに始まった茶道体験はその後、季節の主菓子へと続きます。その日、用意されたのは〝椿餅〟(季節ごとに菓子は変わる)。「日本最古の和菓子であり、かの紫式部も大好きだったといわれています」「つくっているのは『樫舎』さん。素材をとても大事にする和菓子屋さんです」「葉の上に露が打ってあるのには、実は深い意味があるんです」……丁寧な説明を聞くにつれ、茶道文化のもつ世界観に次第に引き込まれていきます。

「では、お茶を点てますね」
和やかな雰囲気から一転、少しだけ緊張感のある空気に包まれた。「お点前の仕方は茶道の流派とは違い、より簡素化した茶論のオリジナルです」と言いながら、ゆっくりとお点前が進みます。

茶杓で抹茶をすくって茶碗に入れ、茶釜から柄杓で湯を汲み、コポコポと注ぐ。茶筅を手にとると、はじめはシャシャッと大胆に攪拌し、次第に細かな動きで点てていく。

所作の1つ1つが美しく、まるでショーを見ているようだと思いながら、静かな時間が流れていきました。

点ててもらった薄茶を手にするとほんわりと温かい。「右手でお茶碗をもち、左の手の平にのせて、一度感謝。お茶碗を右に回して……」。ここでも丁寧に手ほどきしていただけます。
ちなみに提供される抹茶は、京都・丸久小山園にオーダーしたオリジナル。「苦味と甘味のバランスのとれたもの(商品名は『白』)で、お抹茶がはじめてという方にも飲みやすいブレンドです」。喫茶ではほかにもスッキリとした旨味でビターな味わいの『昔』と、しっかりとした旨味と甘味があってリッチな味わいの『碧』もあり。好みの抹茶を楽しむことができます。

ワクワクの〝自点て〟へ
さて、美味しい薄茶もいただいたし、これで終了……いいえ!茶論の茶道体験では、自分で抹茶を点てる実践へと続きます。抹茶を飲んだことはあっても、自分で点てたことのある人は以外と少なく、自分で点ててみたいと思う方も多いはず。そんな希望を叶えるべく、自点てのレッスン開始です。もちろん、こちらも分かりやすくレクチャー。茶筅の持ち方から混ぜ方に至るまで丁寧に教えてくれます。

自分で点てた薄茶と干菓子をいただいて終了。所要時間60分(3,300円)。手軽なのにこの充実感。なかなか贅沢な時間です。また、もっと本格的に茶道を楽しみたい方のために、1時間30分の実践稽古(6,600円)も用意されています。

風光明媚なこの場所で至福の一服
茶論のあるこの建物は中川政七商店の創業家である中川家の住居だった場所。
古き良き佇まいを残す歴史ある空間で、四季折々の表情を見せる中庭を眺めながらの一服は、それだけで格別です。ぜひ、一度お運びください。






- 茶論 奈良町店
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- 奈良県奈良市元林院町31-1 鹿猿狐ビルヂング隣接
- 電話番号:03-6754-8866
- 営業時間:10時~19時(喫茶L.O. 18時30分)
- 定休日:不定期
営業日などに関するお問い合わせは
インスタグラムより