裂織は、布を細く裂いて緯(よこ)糸を作り、一段一段織り込んで新たな布に再生する技法です。
綿花の育たなかった東北地方を中心に、木綿が流通するようになった江戸時代中期頃から盛んに作られるようになります。
麻とは比較にならない程のあたたかさと肌触りのよさを兼ね備えた貴重な木綿の布を、擦り切れても捨てずに生かす知恵として発展していきました。
織りあがった裂織は、元の生地からはまったく予想できないような、新たな命を宿した布に再生します。
あり余るほどに布が溢れている今の社会で、改めて再生のありかたを見つめなおし、手織りから機械織も含め「裂織」をテーマに布を作りました。
同じ色あいの生地を集め、その中から素材や風合い、織の密度や厚さなどの違う布を選び、手織りで丁寧に織り上げました。同系色の色の重なりによる控えめな濃淡のリズムと、多様な素材の組み合わせにより、やわらかなゆらぎが生まれます。モノトーンの色合いの裂織は和室、洋室を選ばず、さまざまな空間に自然と調和します。
同じ色あいの生地を集め、その中から素材や風合い、織の密度や厚さなどの違う布を選び、手織りで丁寧に織り上げました。同系色の色の重なりによる控えめな濃淡のリズムと、多様な素材の組み合わせにより、やわらかなゆらぎが生まれます。モノトーンの色合いの裂織は和室、洋室を選ばず、さまざまな空間に自然と調和します。
1mを織り上げるのに、その3~4倍の生地を必要とする裂織は、生地に厚みが出て強度が増します。その特性を生かしながら、布ならではのやわらかさがある籠を作りました。デニムのように表裏の表情が違う生地を使用しているため、色の濃淡が不規則に表れ、独特な風合いを生み出します。
生地を作る工程の中で、不要とされるもの、または作りすぎてしまって行き場をなくしたもの、それらが持っている素材の個性を生かしながら、新たな布として再生させることを試みましたタペストリーです。
さまざまな工程を経てできた9種類の素材を組み合わせて、手織りで織り上げました。
裏面は平織、表は裂織を1枚の布として同時に織りあげています。機械織ならではの特性を生かし、やわらかな肌あたりの敷布を作りました。
デニムのような表と裏が違う色合いの生地を斜めに切揃え、裂き糸にして織り上げています。緯糸を送る際の自然のねじれによって、一つひとつ色の出方や見え方のバランスが違う布ができあがります。
柿渋を塗布した張りのある麻布を細く切り、機械織機によって、新たな裂織の布として再生しました。織る際にコントロールできない裂き糸のねじれによって、思いもよらない色の変化が表れるのも裂織の魅力の一つです。空間にあわせて、敷いたり、付属の棒で壁にかけて飾ることもできます。柿渋染めによる自然の色合いの変化も魅力のひとつです。
さまざまな試行錯誤の過程の中でできた、ほんの少しだけキズがある生地を、裂織という技によって、新たな布へ再生しました。細幅にカットした生地を緯糸に使用して織り上げた後、自然の材料を使い、染めを施しています。
後染めをすることによって裂いた生地の平面と断面の染まり方が異なり、無地のようで無地ではない、独特な表情が生まれました。
使用する過程の中で徐々に風合いや色合いが変化していくのも魅力の一つです。
乳白色の紙布を、現代の裂織の技術で織り上げ、薄く軽やかな布の簾(すだれ)を作りました。 紙布は他の素材に比べとても軽く、また空間の湿度を調整するという機能があります。空間の仕切りとして掛ければ、隙間を通してやわらかに内と外を繋ぎます。
独自の佇まいをもつ「滝織」の布。緯糸だけでなく経糸にも裂いた布を使用することで、裂織(さきおり)や編みとは違う、独特の表情が生まれました。
布本来のやわらかさを持ち合わせながら、強度を保つよう、太い糸を絡ませて織り上げています。 薄い裂き糸が重なり合い織り上げられた布は、いつまでも触れていたくなるような豊かな風合いです。